第22回全国めだかシンポジウム参加ご報告:1000年先もメダカと共に(野生めだかと改良めだか)

日本メダカ協会事務局長の佐久間です。

このたび、第22回全国めだかシンポジウムに参加してまいりました。主催は日本めだかトラスト協会さんで、メダカと人が共生するために、環境教育・環境調査・環境整備・普及啓発などの環境保全活動を推進している団体です。

お声がけいただいた尾田会長(東大准教授)をはじめ、運営にご尽力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

環境保全活動に取り組む団体が「第三の外来種」とも呼ばれる「改良品種」を愛でる私たちのような団体に意見交換の場を提供してくださるのは、非常に意義深いことと感じています。日本めだかトラスト協会の皆様は、私の意見にも非常にフレンドリーに耳を傾けてくださいました。

今回のシンポジウムのテーマ「1000年後も野生めだかと改良めだかが身近にいる未来」の実現には、環境保全を願う専門家や行政、一般の方々が耳を傾けてくれる間に、「改良品種を愛する人々」も知識とマナーを学ぶことが必要だと強く感じました。

「めだか」は生命の象徴として多くのポテンシャルを秘めています。メダカの飼育を通して、メダカのみならず、その周囲の命や環境について学ぶことができます。改良メダカの美しさは癒しをもたらしますが、ただ観賞するだけでなく、時には「命の芸術」のその先にも思いを巡らせていただけたらと願っています。


シンポジウムご報告

私がお伝えしたこと

日本メダカ協会の活動の中で大切にしている「品評会」と「品種分類マニュアル」についてご紹介しました。限られた時間ではありましたが、いくつかの改良メダカ品種についてもその魅力をお伝えしました。

講演の最後には、「無関心」と「無知」は恐怖や嫌悪感を生む可能性があるため、野生めだかを愛する方々にも改良めだかへの理解と関心を持っていただき、好きになってもらえたら嬉しいと呼びかけました。「無知と無関心から脱して欲しい!」このメッセージは、環境を保全したい人々に共通する想いであり、私自身への戒めとしても発した言葉です。


ご講演概要紹介

小林先生(国際基督教大学 特任教授)

メダカは研究に適した魚種ですが、これまでの研究は主にヒメダカに関するもので、野生めだかの研究はほとんど行われていませんでした。小林先生は、野生めだかの繁殖を自然環境下で研究し、世界で初めて報告されました。

小林先生のメッセージ:「水槽で育った魚を自然界に放しても幸せにはなりません!」改良めだかは人間に飼育されることが「自然」であるため、野生に放流しないよう呼びかけています。

北川先生(近畿大学 教授)

バケツ放流防止の一環として、北川先生が関与された奈良の仏教行事「放生会(ほうじょうえ)」の実施方法の改善についてご紹介いただきました。

北川先生のメッセージ:「野生めだかは目に見えないポテンシャルを内に秘めています。」多様な改良メダカは、野生めだか(クロメダカ)から遺伝子組み換えなどをせずに生まれたもので、放流による遺伝的多様性の破壊はそのような潜在的な可能性を潰すことにつながります。


その他、活動報告

  • 兵庫県立大学 社会人大学院生と娘さん
    • 湿地保全活動、休耕田を利用したビオトープの取り組みを発表され、日本めだかトラスト協会から表彰もされました。
  • 福井工業高等専門学校
    • メダカ教室を通じた環境教育と蒸発散位から見たメダカビオトープの持続可能性についての発表。無理なく継続できる取り組みで、他の方も参考にしやすい活動です。
  • 越前市社会福祉協議会
    • 命を育む児童クラブの活動報告。命の教育が加わることで、児童にとってもメダカにとってもWin-Winな活動になると感じました。

会長・尾田先生からのメッセージ(シンポジウム後にいただきました)

「全ての生き物は『地球生態系』という複雑なシステムの一部として共に35億年を進化してきました。全生物は、その歴史、経緯、進化を共有し、システム内の他の全ての構成要素と調和しています。地球生態系の中にそれ以外のものを組み込むことがないよう、ぜひご留意いただきたいと思います。」

尾田先生のメッセージは、自然の尊さと全生物が互いに調和して生きることの大切さを改めて実感させてくれました。


今回のシンポジウムで学んだことを活かし、メダカの未来を見据えた活動に努めてまいります。

 

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